過剰な自粛警察はいつになったらなくなるのか

「自粛警察」「自粛ポリス」。こうした言葉がはやっています。新型コロナウイルス感染症が広がりを見せる中で、政府の緊急事態宣言発令、都道府県の休業要請、外出自粛などに従っていないとSNSで指摘する者たちをいいます。

「休業要請が出ているのでなんで営業してるのか。自粛しなければ警察を呼ぶ」
「自分は外出自粛を徹底しているのに堂々と外出するんですか」
「マスクを付けていない。コロナを撒き散らすな」
「みんな外出を我慢しているのに、外出するなんてずるいと思います」

こんなことをコメントしてくる者たち。エスカレートすると、実店舗に張り紙をしたり、嫌がらせの電話をかけたり、他都道府県ナンバーの車への投石などをするトンデモナイ者たちもいると報道されています。実被害が出ていれば器物損壊罪ですし、暴行罪、脅迫罪、誹謗中傷に発展することもあります。

かくいう私もメディアに携わるものとして、外出を要する業務をしなければならないこともあります。それで、記事や動画をアップすると「外出自粛にも関わらず、なぜ撮影しに行ってるんですか」とコメントを書き込む者が出てくるわけです。

感染対策を徹底した上で

外出自粛と行っても、首相も記者会見で「外出がすべてだめというわけではない」と言っています。食料品などの買い出し、仕方ない通勤、散歩やジョギングなどは不要不急の外出から除外されると言っています。

その「原則」に従い、きちんと自分の頭で考えてどうすれば感染のリスクがあるのか、どうすれば感染のリスクが少ないのかを考えて行動しています。もちろん、不要不急の外出は避けます。

まず、私自身はいわゆる「三密」を避けるよう徹底して業務をしています。もちろん完璧ではないと思いますが、最大限の努力をしています。

仕事はリモートワークをしているため、ほとんど家を出なくなったし、打ち合わせは全部ZOOMなどのオンラインミーティングに切り替えています。外出は買い物か、仕事で取材が必要なものだけです。

外出と行っても、「密」になる公共交通機関を使うことはありません。自家用車だけを使い、時には誰にも合わずに用事を済ませます。手洗いを徹底し、マスクを着用し、人と近づきすぎないよう徹底しています。

都心部など人が密集しやすいところへは必要でなければ行きませんし、郊外であれば人もいないような田舎で感染のリスクは極めて減少するので、そういった場所へ散歩や、ストレス対策でのドライブをしたりします。

確かに感染対策は必要です。みなそれは耳にタコができるほど聞いていて理解しているのです。その上で感染対策を万全にして外出します。でも、外出をゼロにするなんて不可能です。ストレスが溜まって見の危険を感じるなら、工夫して外出することも必要です。

スーツさんの最もな主張

交通・旅行系ユーチューバー「スーツ」さんは、緊急事態宣言下の東京駅周辺で、動画撮影を深夜に行いました。動画ストックがなくなり収益が減少するので、仕事を行わなければならないからです。その説明を動画の冒頭でしています。

そこで、万全な感染対策をしたうえで意図的に外出。公共交通機関を使わずに移動して深夜に撮影、徹底して人と接触しないようにするという工夫を行いました。

この動画の中で、「『夜間の外出は自粛してください』と東京都知事からの発表があったことは存じ上げておりますが、その意図をよーくくんでみれば、夜間の外出そのものが悪いわけではなく、夜間に繁華街の中に行って多くの接触をするような商売、またそのサービスを受けるのが好ましくないのだという発表でした。なので、私の行動は問題ないと考えています」とスーツさんは説明しています。

これについて、一部「自粛警察」が騒いでいますが、9割以上の視聴者は理解を示しています。このように、行政の発表することの意図をくんで自分の頭で考え、工夫して行動する。これこそが大切です。

完ぺきにデキる人なんていないし、もっといえば、店舗営業をしている事業者も、営業をしなければ自分が死んでしまう命の危機であることや、従業員の生活のことを考えてやめることができないということもあるわけで、強制力がない、政府による十分な休業補償がなされていない現状では、そうした背景を理解してあげることも大切です。

マスコミも取り上げている自粛警察の弊害

こうした徹底をしていても、「自粛警察」はうるさいものです。自粛するように、休業するようにと過剰なほどに同調圧力をかけてきます。「何が何でも外出自粛だ」「絶対に休業すべきだ」と、行き過ぎた正義感を振りかざします。

このような者たちの考え方を撲滅したいと常々考えています。これは大震災のときにも生じていますから、根本から消すにはどうすればいいのか悩んでいるところです。いま、コロナ感染よりも怖いのが、この「自粛警察」です。

マスコミでも「自粛警察」問題を取り上げています。例えばこのような報道がありました。

専門家は「こうした行為は自分を守ろうという防衛本能のあらわれだが、社会に分断を生み出している」として冷静な行動を呼びかけています。

社会心理学が専門で新潟青陵大学大学院の碓井真史教授は「ほとんどの人に悪意はなく、感染拡大への不安から疑わしいものは全部排除しなければ、自分の命に関わるという切迫感を持って行動している」と分析しています。

そのうえで、碓井教授は「行き過ぎると世の中を分断することにつながり、感染予防に逆効果となる」として、冷静な行動をとるよう呼びかけています。

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20200509/1000048610.html

 東京都立大の宮台真司教授(社会学)は「自粛警察」の心理について、「非常時に周りと同じ行動を取って安心したい人々だ。いじめと同じで自分と違う行動を取る人に嫉妬心を覚え、不安を解消するために攻撃する」と解説。「人にはそれぞれ事情があり、非常時の最適な行動も人によって違うことを理解しなければならない」と呼び掛ける。

 企業や事業者の法的支援に詳しい関口慶太弁護士は「営業の自由も移動の自由も憲法に保障された権利。たとえ公共の目的でも、営業や外出の権利制限は目的に照らし必要最低限でなければならない」と指摘する。不当な同調圧力をかけてくる人は「直接相手にせず、被害を公に訴えて味方を増やす方が効果的だ」と話した。 

https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0509/jj_200509_9120148427.html

 想田和弘監督(49)のコメント

 「コロナ自警団とやりとりをしてわかったこと」として4つの点を挙げ、「(1)彼らは『やって良いこと』と『悪いこと』を法律とは無関係に決定し、それを守らない人間を罰する権限と資格があるとなぜか信じている(2)その行為は正義であると信じている」とした。

 そのほかに「(3)『医療関係者』や『命』を盾に取る(これを言えば相手は黙ると思っている)」とし、最後に「あっ もう一個あった。(4)『命』を盾に取る割りには、『おまえがコロナにかかっても病院行くなよ』などと命を粗末にするような発言をする」との行動パターンを指摘した。

https://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2020050602100001.html

 これに加藤は「本人とっては善意なのかもしれない。もっと減らせっていう善意。でもこれは間違った善意だよ」と指摘。「間違った善意っていうのは悪意ですからね。ここを間違っちゃいけない」と強く訴えた。また「しっかりその人たちはルールを守って何とか生活をやろうとしている。ライブハウスにしても実際、配信(する)分は大丈夫だって言って、(演者は)距離をとってライブハウスを使いながらやってるっていう事実を間違って解釈してるっていうのは、忘れないでもらいたい」と呼び掛けた。

https://www.sanspo.com/geino/news/20200507/owa20050710330002-n1.html

力づくで自粛させ、要請に従わない者を取り締まろうとする「自粛警察」は、過剰なほど正義感をむき出しにして、重箱の隅をつつくかのごとく攻撃してきます。自分は正しい、間違っていないと思いこんでいます。

しかし、自粛警察の皆さん、あなたには法律に基づいた捜査権、取り締まる権利があるんでしょうか。人を裁く権利があるんでしょうか。裁判官や裁判員として活動するときは該当するんでしょうが、ただの一市民が過剰な正義感を振りかざして、目くじら立てて攻撃をしてくる。

大前提として、日本は法治国家です。法律に反する行動なら避けなければならないですが、善悪を法律とは別に自分勝手に作り、人に押し付けてくるのが自粛警察です。

張り紙をしたり、暴行したり、器物破損させたり、脅迫や名誉毀損をするなら、それこそ自粛警察の方が法律に触れるので、やめたほうがいい。そして、このような正義中毒の者たちが、社会を分断していくし、人々の不安をさらに煽っているので、たちが悪いのです。

自家用車での移動はリスクが少ない

「自粛警察」の中には、自家用車で移動するだけで「外出自粛してください」と言ってきます。自家用車で一人で移動することについて、専門家はリスクが少ないと証言しています。

ご自身一人で、または普段生活を共にしているご家族と家で所有するクルマに乗っている状態であれば家の中にいるのとほぼ同じ環境にあると思われます。

https://t-reiz.com/blog/20200409-1978/

ドライブスルーやドライブインシアターが注目を浴び、都市部では自家用車の必要性が改めて注目されてきています。

先述したとおり、郊外の人がほとんどいない田舎道を散歩したりドライブしたりしたところ、「自粛警察」が騒ぎ出しました。この日、一人で家を出て、一人だけで移動をし、周囲に誰もいない場所なので誰にもあわず、どこにも触らず、広い田園地帯を散策しました。このどこに感染リスクがあるのでしょうか。都市部にいるよりよっぽどマシです。

以上、自粛警察に対する思いを綴りました。いつになったらなくなるのでしょうか。ただでさえ苦しい時期にこのような新たな問題が出てくると、さらに生活が苦しくなります。人の心があるなら、「自粛警察」は取締や裁判を今すぐ自粛していただきたいと思います。