食品衛生責任者資格者養成講習会を受講して資格を取得する方法

食品衛生責任者養成講座という言葉をご存知でしょうか? 飲食店営業に関わったことのある方や資格マニアであればすぐわかると思いますが、そうでなければ知らない人も多いでしょう。

このたび必要に迫られて食品衛生責任者の資格を取得してきましたので、
食品衛生責任者とは、何なのか、
どんなときに必要になるのか、
どのように資格を取得するのか、

といったことについて実際の体験談をもとにご紹介します。(※札幌市の例で進めていきますが、地域によっては異なると思います)

食品衛生責任者とは?

まずは、食品衛生責任者とはなんなのでしょうか?

似た言葉に食品衛生管理者がありますが、これは食品衛生法第48条に定められている資格者で、食肉製品・加糖粉乳の製造など特に食品衛生上の考慮を必要する施設に限って、医師、薬剤師、獣医師など一定の要件を満たすもの、つまり食品衛生管理者を置く必要がありますが、この資格取得には費用も条件もハードルが高いものです。

一方、 食品衛生責任者は、飲食店営業や加工食品製造業など、特に食品衛生上の考慮を必要とする施設に必ず置かなければならない資格者です。 各自治体の食品衛生法施行条例に基づいて、食品衛生責任者資格者制度を設けていて、食品衛生責任者資格者養成講習会と呼ぶ講習会が定期的に開催されています。この講習会に申し込んで受講すると、自動的に資格を取得することができます。

食品衛生責任者は、次の役割があります。

  • 施設(大規模な製造業では部門)の衛生管理
  • 施設において衛生上支障のある事実が生じた場合に改善措置を講じる
  • 営業者に改善措置を講ずるよう進言する
  • 食品の取扱を衛生的に行われるよう、従事者に指示したり衛生教育を行う

それで、営業施設ごとに1人、大規模な製造業では部門ごとに1人を食品衛生責任者に指定しなければなりません。経営者自身がなることができますし、従事者の中から置くこともできます。複数の施設の食品衛生責任者を兼務できないので、一つの施設だけに専属という形になります。

もし食品衛生責任者を設置しないと、設置されるまでの間、営業停止処分を受けたり、営業許可が取り消される場合がありますので、とても重要なのです。

食品衛生責任者の資格を取得するには?

食品衛生責任者になることができる資格はいくつかあります。

  • 調理師、栄養士または製菓衛生師
  • 医師、歯科医師、薬剤師または獣医師
  • 大学で医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修了した人
  • 食品衛生管理者の養成施設で所定の課程を修了した人
  • 一定の学力があると認められる人で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業または加工業において食品または添加物の製造または加工の衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した人
  • 食品衛生指導員

と、これだけを見ると学歴がないと無理なのかなーとハードルを感じるかもしれません。しかし、上記のほかにも、簡単に資格を取得できる方法があります。

  • 食品衛生責任者資格者養成講習会を修了した人
  • 他の自治体の食品衛生責任者資格者養成講習会を修了した人

というのがあります。この食品衛生責任者資格者養成講習会はたいてい地元の食品衛生協会が地元首長の指定を受けて実施しているもので、10,000円程度の受講料を支払い、いちにちの講習会を受講することで、資格を取得できるのでカンタンです。たいていの人は、この講習会を受講して資格を取得していると思います。

食品衛生責任者資格者養成講習会の受講の流れ

では、実際に食品衛生責任者の資格を取得してみましょう。

食品衛生責任者資格者養成講習会は、大きな都市では毎月のように開催されていますが、地方としては開催頻度が少ないことと思います。たいていウェブサイトに案内がなされているので、地元で開催されている講習会をチェックしましょう。

講習会の開催日よりも十分前もって受講申込締切が設定されていることがほとんどだと思います。ただ、講習会が終われば即日で修了証が交付され資格者となりますので、それほど期間はかからないはずです。

受講申込は、地元の保健所に入っている食品衛生協会に申し込みます(地域によって違うかもしれませんので要確認)。その際には、身分証明書と受講料(札幌市の場合8,000円)を用意していくことをお忘れなく。領収証もいただくことができますので、法人でも経費にすることができます。

受講申込時には、受講票にいろいろと記入します。例えば・・・

  • 調理師・栄養士・製菓衛生師ではないか
  • 過去に受講したことがないか
  • 受講予定日
  • 氏名・住所・電話
  • 受講理由:新規営業許可申請、食品衛生責任者の変更、資格取得のみ(前者2つの場合、施設名と住所・電話を記入)
受講票(画像を一部加工しています)

裏面には、当日の開催会場や受付時間、時間割、持参するもの、注意事項が記載されています。受付はすぐ終わります。この用紙は当日持参することになっているので、大切に保管し、忘れずに持っていきましょう。

受講票の裏面

当日まで、特に事前勉強する必要はありません。

食品衛生責任者資格者養成講習会では何をやるの?

食品衛生責任者資格者養成講習会の当日を迎えました。受付時間が設定されていて、遅刻は厳禁なので、早めに会場に到着しましょう。また、持ち物もチェック。受講票、身分証明書、筆記具が必要です。

会場の様子

札幌市の場合、講習会の科目と講義時間は食品衛生責任者資格者制度運営要綱で定められているのですが、次の3つの科目が3人の専門家・講師によって扱われます。

  • 公衆衛生学 1時間
  • 食品衛生法 2時間
  • 食品衛生学 3時間

以上合計6時間です。昼休みや休憩時間を挟むので、10時から17時までとなっていることが多いかと思います。具体的には下記のような一日を過ごします。

  • 09:20~09:50 受付
  • 09:50~10:00 オリエンテーション
  • 10:00~12:00 食品衛生法および関係衛生法規(途中10分休憩)
  • 12:00~12:50 お昼休み
  • 12:50~13:50 公衆衛生学
  • 13:50~14:20 ビデオ
  • 14:20~16:50 食品衛生学(途中10分休憩)
  • 16:50~17:00 修了証交付

飲み物が準備されていますが、飲み物持ち込み自由。昼食は持ち込み自由で、会場で昼食を予約できることも。ちょうどよいタイミングで休憩があるので、辛いということはありませんでした。

ひとりひとりには教本が用意されています。この教本に基づいて、講義は進んでいきます。では、具体的にどんな講義が行われるのか、ご説明しましょう。

教本

食品衛生法及び関係衛生法規

この科目では、法律を学びます。食品衛生法を中心に、営業者が遵守すべき管理運営基準です。

食品衛生法の必要な項目を、条項ごとに学んでいきます。対象は食品・食品添加物、器具・容器包装、おもちゃ・洗浄剤であることがわかります。不衛生な食品の販売等の禁止、食品・添加物の規格基準、輸入、食品衛生管理者、違反と罰則などを法律から学びます。

また、添加物、食品の表示義務、営業許可、自主管理(マニュアル作り)、苦情やクレーム対応までを学びます。

はじめて受講すると、法律で事細かに規則を定められていることや、管理運営基準を徹底することの重要性を学び、身が引き締まります。

公衆衛生学

この科目では、食品衛生を含む公衆衛生全般を学びます。公衆衛生の概要、疾病予防と健康増進、食生活と健康が主な柱。

午後いちなので眠いなか受講するのがこの科目で、しかも人口ピラミッドとか生活習慣病やメタボリックシンドロームなど、この資格取得に本当に必要?とはてなマークが付く内容がほとんど。

でも、その中でも、感染症・インフルエンザ対策、食習慣、たばこ、お酒、放射性物質など、食品衛生に必要な知識も随所にぶっこんできますので、そこは聞いておいたほうが良いと思います。

食品衛生学

この科目では、食中毒、食品や施設の衛生管理を中心に学びます。この科目が重要なのは、受講してみればわかります。食品を扱う者としてはしっかり知識を得て置かなければならない情報ばかりです。お客さんの命に関わる仕事をするんだという認識が高まり、軽い気持ちで飲食業に携わることなんてできなくなります。

この科目では、食中毒の概要と分類、発生状況などについて、実際の事例を紹介しながら学んでいきます。食中毒とひとくちにいっても、下記に分類されます。

  • 細菌性(カンピロバクター、病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌など)
  • ウイルス(ノロウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス)
  • 自然毒(フグ毒、貝毒、毒キノコ、トリカブト、じゃがいもの芽、アフラトキシンなど)
  • 化学物質(農薬、ヒ素、ヒスタミン、油脂の酸敗など)
  • 寄生虫(アニサキスなど)

これら主要な食中毒の原因を一つ一つ詳しく学んでいきます。どのようにして発生するのか、どこにいるのか、どんな性状なのか、原因となる食品、潜伏期間、主な症状、そして予防。

この予防というところにも十分の時間を割いていきます。基本的には、清潔、迅速・冷却、加熱の3原則でよいですが、ノロウイルスの場合は例外的に持ち込まない、広げない、清潔、加熱という4原則が必要ということなどが解説されます。

またHACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理、食材ごと、調理用機器・器具類ごと、施設ごとの衛生管理方法、水、廃棄物の処理についても詳しく学びます。

知らないことが多く、勉強した!という感覚になったのがこの科目でした。

そして修了証ゲット

17時が近づくと修了証交付のお時間です。封筒が渡されますが、修了証と食品衛生責任者プレート(23cm×5cm)がその中に入っています。

食品衛生責任者プレート(画像を一部加工しています)

このプレートは、営業する施設に掲示しなければならないもの。また修了証は、営業許可を得るときに原本が必要になります。いずれもなくさないように保管しましょう(なくしても有料で再発行はできます)。

受講を終えて

食品衛生責任者資格者養成講習会は、こうして終えました。一日潰れます。しかし、飲食業に携わるのであれば必須の資格。

ただ資格を得るだけなら会場で他のことをしていたり寝ていたりしてもいいのでしょうが、それでは資格を得たことにはならないと思います。 一番怖い、食中毒事故や異物混入事故が発生してからでは遅いです。 しっかり講義の内容を学んで、自分のものにして必要な準備や対策を講じておくことが必要と感じました。

この記事が、今後食品衛生責任者の資格を取得しようとしている皆さんのお役に立ちますように。

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