新型コロナウイルス感染症の影響で経営悪化!どうすれば?

2020年2月以降、日本でも深刻になってきた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染蔓延。3月下旬以降、その深刻さはさらに増し、日本国政府としても緊急事態宣言を発表するまでになりました。それに伴う外出自粛、休業要請により、企業や個人事業の経営は悪化しているところが増えています。

かくいう私の会社も、3月以降の売上は激減。特に観光+広告に関わる事業をしている関係上、敏感に察知することができました。海外渡航がストップしインバウンドの需要が激減したことで、まっさきに観光業の発信はストップしました。更に追い打ちをかけるように、広告出稿もストップするところが増え、影響が甚大です。

今回は、このようなかつて経験したことのない経済悪化に巻き込まれた場合、どうすればいいのか、その対処法を解説します。

売上計画が立てられず

弊社では、3月以降に事業がストップしたり延期したりして、売上が激減しました。前年同月比でいうと5割以上減少しました。4月には広告単価も減少。YouTubeやGoogleAdsenseの広告単価も、例年4月に下がるのが常とはいえ、前年同月比で大きく減少しました。ですから、3月比でいうと、半分以下になっています。

4月以降の売上は見通せないのが現状です。ストップした仕事がいつ再開されるのかは、緊急事態宣言の解除が最低限でも必要だからです。たとえ解除されても、自粛ムードは続くでしょう。特にインバウンド・観光の分野ではもとに戻るのはもっと先でしょう。ウイルスの治療薬やワクチンが開発されて一般の人に行き渡るまでは、半年以上、もしかすると一年以上かかると見込まれます。

これほど、いつ売上が回復するのかが見通せないのは、経営してきて初めてのことです。ですから、売上計画が立てられません。となると、いつでも最悪の事態を想定して計画をたてざるを得ません。いま、ストップしている仕事や今期見込まれていた仕事はいったん取り除いて計画をたてることになります。その結果、事業計画は大幅に下方修正せざるを得ません。今回の場合は、売上が5割以上減の場合を想定して計画をたてることになります。

売上が大幅に減少するということは、経費にもメスを入れなければなりません。経費には大きく固定費と変動費があります。まず減らすべきなのは固定費です。

固定費を減らす

固定費とは、売上の増減に関わらず、毎月一定の金額かかってくる費用のことです。人件費、家賃、水道光熱費、広告宣伝費、リース料などがあります。売上が下がったとしても、仮にゼロになったとしても、ここだけは必ず発生してしまうので大変です。1円単位で見直しましょう。この中でまず減らすのは、家賃と人件費です。

家賃

事務所家賃については毎月固定で数万~十数万円かかっていると思います。リモートワークが推奨されるようになって、事務所を使わなくなっているでしょうか。今後もリモートワークでやっていけそうなら、まずここを減らす必要があるでしょう。もっと手狭な事務所に移転する、必要なら支店や店舗の閉鎖が必要と判断できるかもしれません。一等地だからと、しがみついている場合ではありません。

弊社でも、今回の感染症蔓延の影響で、外出自粛することが推奨されたことにより、レンタルオフィス事業の利用が激減、3月以降の利用がほぼゼロになりました。すでに赤字部門であったため、まっさきに切り捨てる事業として白羽の矢が立ちました。

検討した結果、できるだけ早い対処が必要との思いから、3月中旬には廃止撤退を仮決定、4月初めに運営者会議で閉鎖を決定、4月末での営業終了を発表しました。

撤退により、一時的に違約金や撤収のための不要物処分費用などが発生しますが、家賃だけではなく、水道光熱費、インターネット通信費、コーヒーマシン、その他メンテナス費用が今後一切発生しなくなるのは、気持ち的にも楽になります。

本社事務所については、すでにスペースの小さいエリアを借りているため、これ以上の面積縮小は難しいですが、最悪の事態になれば自宅兼本社、もしくはバーチャルオフィスという判断もやむを得ないと思っています。ただし、これは最終判断になるでしょう。

人件費

続いて見直すところとしては、大きな固定費の部分を占める人件費でしょう。幸い、弊社はアルバイトや正社員を雇用していませんが、外注費は大きな割合を締めています。外部ライターやカメラマンへの発注は全てストップしました。

一方で、メインスタッフの外注費は大きいです。しかし、一時的にでもやめてもらうことは、継続的な業務をお願いしている以上、とても難しいと感じています。今後この状態が長続きするのであれば、月額報酬を減額して業務量を減らすという方法も選択しなければならなくなるかもしれません。

広告宣伝費

続いて広告宣伝費も削減しなければなりません。まっさきに切るものの一つと言えるかもしれません。年度末の3月までは広告がいっぱい流れていましたが、4月以降急減したのは、この状況を見て多くの企業が広告を打ち切ったからでしょう。

弊社では幸い、広告宣伝費を多く出費していることはありませんでしたので、大きく影響しませんが、もしいま広告宣伝費を出している場合は、まず削減して、無料で宣伝できるSNSなどのツールを利用するなど、方法を変える必要があるかもしれません。

変動費を減らす

変動費は、仕入原価、消耗品費、取材費などが入ります。毎月一定の費用かかる固定費に比べて、変動費は売上に応じて増減しますので、あまりメスを入れられないかもしれません。仮に売上ゼロになれば仕入原価もかからないからです。

キャッシュを潤沢にする

損益計算書上、赤字になっても会社が潰れることはありませんが、キャッシュ(現預金)がなくなれば潰れます。ですから、キャッシュをかきあつめて資金繰りを健全にしておく必要があります。

よく、会社の売上の3ヶ月分はキャッシュを持っておくようにと言われます。常日頃からキャッシュを潤沢にするようにしている会社であれば、売上が減少しても数ヶ月程度は持つと思いますが、自転車操業の会社はまずここに注目する必要があります。

利益を出すことが難しい状況でも、キャッシュを集めておく方法はいくつかあります。

  • 事務所店舗の撤退によって敷金が帰ってくるようなら、キャッシュ増になります。
  • 必要のない資産を処分します。使用していないとか、利益を生んでいない資産をチェックします。
  • 売掛金回収のサイクルをチェックし、遅れているなら催促します。
  • 必要経費を削減することでキャッシュを残します。
  • 出資や融資によって資金調達する

弊社では、解約返戻金に相当する資産があり、解約により現預金を増やしました。また、前述の通り店舗撤退により家賃・水道光熱費・通信費などを削減することに成功しました。

もうひとつ大切なのは、資金調達です。これについて詳しく次の項目で説明します。

資金調達する

資金調達には、出資を受ける、融資を受ける、そしてこれはちょっと種類が違いますが、助成金や補助金を受けるなどの方法があります。出資については株主になるということですから、会社オーナーとしての決定権に関わるため、慎重に検討する必要があります。

一番現実的なのは融資を受けるということです。日本政策金融公庫や取引銀行の融資制度を用いて、融資を申請することができます。顧問税理士に相談の上、融資に適した財務諸表にしておくことが必要です。

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける企業が多いため、中小企業や個人事業主向けの特別な配慮がなされています。日本政策金融公庫は「新型コロナウイルス感染症特別貸付」をはじめています。対象となるのは下記の通りです。

  1. 最近1ヵ月の売上高が前年または前々年同期に比し5%以上減少していることまたはこれと同様の状況にあること
  2. 中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること

今回の自然災害では、ほとんどの企業が5%以上売上が減少していると思いますので、多くの企業が対象になると思います。3ヶ月以上の営業実績があれば、対応してくれます。

今回この融資制度がすごいのは、実質無利子、無担保で貸し付けてくれること。利子を一旦収めますが、後日低減した利率の利息分を返却する利子補給制度となります(小規模事業者は売上15%以上、中小企業は売上20%以上減少の場合)。これにより、当初3年間は実質無利子で利用できます。

また、設備資金では20年、運転資金では15年で、いずれも5年間据え置きが可能であるという点も、過去に例がないほどの配慮であり注目に値します。

日本政策金融公庫の窓口はすでに行列ができており、審査が通る時間も、実際に融資資金が入金されるのもかなり遅くなっていますので、緊急に必要ということであればすぐにでも申請する必要があります。特に今回は感染の恐れがあることもあり、一度利用したことがある事業者であれば、電話と郵送による申請が可能です。

政府の施策

日本国政府も、今回の事態を受けて、さまざまな前例のない対策をしてくれています。

持続化給付金

今回政府は、中小企業や小規模事業者、フリーランスに対して、返済不要の給付金「持続化給付金」制度を創設しました。これについては、企業だけではなくフリーランスも対象ですから、忘れることなく申請したほうが良いので注目してください。

対象となるのは、資本金10億円以上の大企業を除く、営利法人、非営利法人などの法人格を持つ団体、フリーランスを含む個人事業主です。そのうち、2020年1月から12月のうち任意の月で、2019年の同月比で売上が50%以上減少した事業者が対象です。弊社は間違いなく該当します。

該当したら、法人は最大200万円、個人事業主は最大100万円が給付されます。
計算式は下記のとおりです。

前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上げ×12カ月)

例えば、前年の月の売上がほとんど同じ1000万円、年間総売上が1億2000万円だったとしましょう。しかし、今年3月の売上が700万円、4月の売上が400万円に減少しました。その場合、売上が50%以上減少した4月が対象になります。式にあてはめてみましょう。

1億2000万円 ―(400万×12ヶ月)=4800万円

法人の給付マックスは200万円なので、この制度を適用すれば満額が支給されるというわけです。電子申請の場合、申請後2週間程度で入金される予定です。

申請に必要な書類は下記のとおりです。4月最終週を目処に詳細が確定します。今から準備をしておいて、受付開始になってすぐ申請を出せるようにしておきましょう。

中堅企業・中小企業
・法人番号
・2019年の確定申告書類の控え
・減収月の事業収入額を示した帳簿等

個人事業主・フリーランス
・本人確認書類
・2019年の確定申告書類の控え
・減収月の事業収入額を示した帳簿等

税金納付猶予

今回政府は、法人の法人税、消費税、社会保険料の支払いについて、猶予する前例のない方針を発表しています。2月以降に前年比20%以上減少した企業の法人税・消費税・社会保険料を、無担保・無延滞税(無利子)で一年間支払いを猶予する特例を設ける予定です。

また、既にある、赤字の中小企業が前期に収めた法人税を返してもらう制度の対象が、資本金1億円以下から10億円以下まで引き上げられます。

最後に

以上、新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少した企業やフリーランスのためのガイドでした。まずは固定費を削減すること、キャッシュ(現預金)を厚くして資金繰りに余裕をもたせておくこと、資金調達をしたり、給付金制度・納付猶予制度を活用することです。

どの企業も大変な時期です。いかに長期戦に耐えるかが問われます。もし上記のことをやっても長期戦に絶えられないと判断するのであれば、傷が浅いうちに撤退(廃業)すること、その判断も経営者には求められることと思います。苦難の時期を乗り切るために、一緒に頑張っていきましょう。