売上を上げてもお金が会社に入らないってホント?! 売掛金のカラクリとは

事業を行う個人事業主や会社経営者(と経理担当)にとって、売掛金と買掛金についての知識は必須です。

というか、事業をやっていくうちに自然とわかっていくものなんですが、起業したての方はその知識に乏しくて、「やべー、金がない!金がない!」と騒ぐという事象が生じます。

なんでかというと、売上を上げてもお金が会社に入らないからです。
もっと正確に言うと、売上を上げてもお金が会社にすぐには入らない、となります。
これがいわゆる「売掛金」の厄介なところであり、資金繰りの重要なところでもあります。

どうしてそのようなことが生じるのでしょうか。

売上金がすぐに入ってこないカラクリ

会社経営をはじめほとんどの会計処理は「発生主義」で処理しています。

まず、売り上げが発生した時点で、「売上高」として帳簿に計上します。
納品物が完成してクライアントに納品した時点で、つまり商品を引き渡した時点で「売上高」が記録されるのです。

でも、その売り上げに対する代金が即日に支払われません。
なぜかというと、請求書を発行してクライアントに送付して、相手に届いて確認してから相手側のタイミングで支払ってくれるからです(契約書の相互合意がある場合は別)。

例えば……

自社:10日納品、20日締めで請求書発行
取引先:末締め、翌月末払い

の場合、10日に売り上げが発生したにもかかわらず、売上金を支払ってくれる(入金される)のが翌月末になってしまうのです。約50日のタイムラグ……。おっそ。

経理上では通常「売掛金」勘定で記帳していきます。
例えば、上記の例の場合……

7月10日:売掛金 108,000円 ― 売上高 108,000円(納品し売上計上)
8月31日:預金 108,000円 ― 売掛金 108,000円(実際に支払われた日)

売掛金を知るうえでよく使われる、野球のヒットとホームインの例えで考えてみましょう。

1.バッターボックスに入る=受注

バッターはまずバッターボックスに入り、相手ピッチャーからのボールを受けます(受注)。
まだこの時点では仕事を完了していないので、当然お金にはなっていません。

2.ヒット!=売上計上

続いて、バッターがヒットを打って1塁に進みます。
でも、まだホームベースを踏んでいないので、得点は記録していません。
同様に、商品を納品し売上高を計上したんですが、まだお金は入ってきていません。

3.進塁!=請求書発行

ランナーは2塁、3塁と進塁していきます。
でも、まだホームベースを踏んでいないので、得点は記録していません。
同様に、無事納品を終えたのでクライアントに対して請求書を発行しますが、まだお金は入ってきていません。

4.ホームイン!=売掛金回収

ランナーは最後にホームインします。
これによってようやく得点を記録することになります。
同様に、クライアントが支払ってくれたので、ようやく売上金が入ってきました。
会社にとって事業資金(キャッシュ)が増えたことになり、支払いなど運転資金に使うことができます。

このように、売上高の計上(売上高計上)から実際のお金が入ってくる(売掛金回収)までにはタイムラグがあるということをまず押さえておきましょう。

ただし、BtoC(顧客向けサービス)の事業で現金払いあれば、レジで売り上げたと同時にお金が入ってきます。
これは野球に例えれば、ホームランに相当します。
打ってすぐに得点になるからです。

売上代金をできるだけ早く回収する

入金サイトが長くなれば長くなるほど、お金が入ってこない中で通常の事業経費の支払いをしていかないといけないので、資金繰りが苦しくなります。

先ほどの例でいうと……

7月1日:残高200,000円
7月10日:売上計上したけど増減なし
7月20日:事務所経費・人件費支払→残高100,000円に
7月20日:請求書発行したけど増減なし
8月10日:別の仕事の外注費→残高ゼロ(この売上入金はもっと後)
8月20日:事務所経費・人件費支払→残高△100,000円(足りない!)
8月31日:入金108,000円(今頃かい!)

簡単な例ではありますが、
このように、入金までのタイムラグが長いと、その間に現預金残高がどんどん減っていくことになります。
そうなると、上記の例のように運転資金がショートして、融資や社長借入を投入しなければ倒産してしまいます。帳簿上は売り上げが上がっているのに……です。

一番理想なのは野球でいうホームラン、つまり納品と引き換えに売上代金を回収すること。
キャッシュがすぐに入ってきて様々な支払いができるため、資金繰りが相当楽になります。

でも、売掛金撤廃なんて現実的ではないので、入金サイト(納品から売上回収までの期間)を短くするように努力しないといけません。
つまり、盗塁をしたり、後続の誰かにホームランを打ってもらって、早くホームベースを目指す必要があるのです。

そのためにできることは、

1.請求書の発行を忘れずにすぐに行う
2.売掛金回収(入金)の管理を徹底する(いつ入金されるのか)
3.支払が遅い時は督促する
4.現金販売や代金引換、代金前払いや一部手付金といった販売の仕組みにする

ということを行って、確実に、迅速に、売掛金を回収することです。

もし売上代金を回収できなければ、野球でいうところのスリーアウトです。

せっかくヒットを打って出塁し、3塁まで進んだのに、スリーアウトになってホームベースを踏むことが叶わなかったことに似ています。
当然、得点はカウントされませんよね。それまでの努力は水の泡です。

売上を上げることも大切ですが、売掛金をいかに確実に、早く回収できるかもとても大切なのです。
ぜひ、参考にしてくださいね。

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